私のお気に入り 大切なのはリラックス

中国茶というと工夫茶をイメージされる方が多く なんだか難しそうに思われますが、工夫茶自体はもともと 明から清代の福建省で、主に青茶(烏龍茶)を淹れる方法として 始まったと言われ、その当時はもっと簡単だったのでしょう。
現代になって日本の茶道なども参考に 茶芸としての工夫茶が広がり、青茶のみにとどまらず 緑茶やジャスミン茶など様々なお茶を 工夫茶風に淹れるようになり、それ故、実際には『こうでなくては…』といったものがある訳ではありません。
お茶の持つ本来の味や香りを楽しむ事こそが大切なのです。
お茶の香り、心と身体にひろがる味、麗しい気を自由に楽しみ下さい。
そして何よりも大切な事はリラックス…
忙しい毎日だからこそ、お茶とのひととき ほんの少し、ほんのいっときでもその時々の季節を感じ、想い、自然に寄り添って過ごすことが 素敵なことだと思います。

中国茶の淹れ方って…

思いつくだけでも、いくつか入れ方や楽しみ方があると思いますが ここでは初心者の方でも淹れやすい一例をお話しますね。

私的美味しい中国茶の淹れ方
右上から
茶台(茶漉し)
茶海 一煎一煎を出し切りで煎れていかないと 蒸らしすぎて苦味が出たり茶葉のヘタリを 加速させてしまうので、あると便利です。 (なければ紅茶のミルクポットのようなものや グラスでもカップでも良いでしょう) 
茶壷(急須)
茶杯(お酒を飲むおちょこに似ています。もちろんおちょこでもOK。)
茶道具セット(茶杯をつまむピンセットのようなものや 茶壷の注ぎ口に詰まった茶葉を取り除く棒 などが1セットになっている茶道具セット。 これが無くても勿論お茶は煎れられますが あるとぐっと雰囲気が増すでしょう)
茶荷(ちゃか)
茶葉を美しく茶壷に入れる道具です。
以前、台湾で工夫茶の茶道具について訊ねたところ『お茶やの商魂だよ』と言われ納得しました。
横浜茶庭でもあつかっていますが、茶壷があれば十分だと思います。
茶葉はどのくらい入れればいいのか
使う茶葉の量は茶葉の種類や呑み方によって様々ですが 目安としては100ccあたり2g位が適量。
(注) これはあくまで目安です。茶葉の種類、茶器や蒸らし時間により変わりますので 色々と試してみて自分の好きなお茶の香と味をゆっくりと捜して 自分流の茶葉の分量を見つけてみて下さい。
今回は例では170ccの茶壷で40mlの茶杯を使い 3人で楽しむことを想定しますので、茶葉の量は大体3〜4g用意します。 では3gの茶葉の量とはどれくらいでしょうか?ご覧のように一口に中国茶の茶葉と言ってもその形は様々
見た目だけでは量の判断は難しいので、
初めて飲む茶葉は、その茶葉の重さを量ってみてアバウトな量を理解することをおすすめします。
写真は各茶葉の3gの量 (左)ジャスミン茶 (中)鉄観音 (右)鳳凰単叢
まずは用意した茶壷、茶杯、茶海、にたっぷりのお湯を注いで温めておきます。
これが一番重要です。
コーヒーも、紅茶も、ポットを温めカップを温めます。これこそが香りを立てる基本です。中国茶のいのちである香りを立てるためには、全ての茶器を愛情をもって温めることです。
次にしっかりとお湯をきった茶壷にお好みの茶葉を入れます。
次は洗茶(センチャ)一度沸騰させたお湯を、茶壷の中の茶葉を目覚めさせるように茶壷めがけて狙いを定めて勢い良く少し高い所から注いであげましょう。(80度位だとより良いでしょう。)
注いだお湯が泡立ちアクが出てきたら茶壷の蓋ですくい出します。
本場中国の茶館などで工夫茶を入れて頂きますと お茶お入れる際の茶盤の上に必ずと言って良いほど 陶器で造られた豚やカエルなどの置物が置かれており 洗茶などのお茶を置物達に飲ませる様にかけます。 これは茶壷を育てるのと同じように置物たちにも お茶を飲ませて育てていくのだそうです。 古来より豚は家庭円満、カエルは金運をもたらすとして 親しまれ、ともにお茶を頂くにつれ、大切な友の様に 仲良くなっていく気がしませんか?
香りを開かせる意味もあって一煎目の入れたお湯はすぐに捨てましょう。
さあ、二煎目です。

80度〜95度位のお湯を再びなみなみと やはり勢い良く注ぎます。

そして蓋をしたらその上から 茶壷全体を温めるためにさらにお湯を注ぎます。

茶葉の個性によって違いますが10秒〜120秒蒸らします。ここの勘所は毎日お茶を淹れている人には敵いません。

蒸らし終わったらお茶を茶海(チャカイ)へ全て注ぎます。
これは茶杯(チャハイ)に注ぐときにお茶の濃さが均一になると共に、お茶の蒸らし過ぎで渋みが出てしまうことを防ぐ為です。 このときに茶台(ちゃこし)があれば使っていただくと、茶杯に注ぐときに余計な茶葉が入らずにすみます。 お一人でお飲みになる際も、茶壷の中にお湯を残さず、茶杯に注いで残ったお茶は別のカップなどに移しましょう。

飲み方について

中国茶は紅茶のような大きなカップでいっぺんに飲まず、小さめの杯で煎れる度に変化していくお茶の香りと味をご堪能下さい。 茶葉の種類や品質にもよりますが5〜7回繰り返してお茶をいただけます。 だんだん、お茶と会話するように、少しずつ茶壷の中に ながく置いてあげて下さい。

お茶の温度は?

高すぎると苦くなりやすく 反対に低すぎると香りや味が充分に出ません。 中国茶も緑茶は日本と同じく、低めが良く 紅茶は100度で入れましょう。

蒸らし時間や茶葉の分量について

茶葉にお湯を注ぎ、楽しむごとに それはお茶との会話にもなっていて、 自分の好きなそして自分に合う茶葉の量や蒸らし時間も、 いつの間にか気づいたら分かっているはずです。 その日の気分や感情にも耳をすませ、その時々のお茶を味わいたいものです。 これってすごい贅沢な事だと思うのです。

茶道具について

決して肩肘張らないのが、中国茶との付き合いだと思います。 最初から全てをそろえる必要はありませんし 茶器や茶道具とも出会いだと思うのです。 ある日、あるとき、出会って、縁あって、来るべくして来てくれた茶器たち、、、。 そんなお気に入りの茶器が段々と増えるもよし、 フランクにつきあい続けてもよし。 でも必ず優雅なお茶のひとときには違いありません。

あとは茶杯に注いで、それぞれのお客さまにお出しします。

2014 SEABLUE CO.LTD (c) Copyright Yokohama Tea Garden.All rights reserved.